保管方法の実験

保管実験のイメージ

カッティングシートを商品としてショップ販売する場合など、納品後にすぐに使用しない時は、しっかりと保管しないとカッティングシートが反ってしまったり、焼けてしまうことがあります。そのような状態でも実際は転写シート部分だけが傷んでいることが多く、カッティングシート(ステッカー)自体は問題なく貼りつく事が殆どです。しかし折角の商品が使用する前に傷んでしまっては悲しいですよね。

そこで当記事では最適な保管方法と、逆にやってはいけない保管方法を調べるため、様々なパターンを長期間にわたって実験・経過観察を行いました。また特殊な道具は一切使用せず、「誰にでもすぐ用意できる」をテーマにして実験しましたので、すぐにベストな保管状況が再現ができます。

すぐに答えが知りたいお急ぎの方:こちらから最適な方法が確認できます。

関連記事: カッティングシートの貼り方


実験の条件

実験デザイン
実験開始日 2025/07/10〜
デザインのサイズ 24.8 x 11.2cm(余白を含めると26.7 × 13.2cm)
使ったシート 651標準シート098 ジェンティアン

条件パターン

実際の施工結果の期間を空けて記録できるよう、同じ条件の20シートを3セット用意しました。水色の行は推奨度が高いものです。

実験ID 推奨度 保護 温度・湿度 乾燥 重し 形状
A1 ★★★★☆ Ziploc 常温/常湿 シリカゲル 蛍光灯
A2 駄目 Ziploc 常温/常湿 シリカゲル 蛍光灯
A3 ★★★☆☆ Ziploc 常温/常湿 シリカゲル 蛍光灯
B1 ★★★★☆ Ziploc 常温/常湿 蛍光灯
B2 駄目 Ziploc 常温/常湿 蛍光灯
B3 ★★★☆☆ Ziploc 常温/常湿 蛍光灯
C ★★★★☆ Ziploc 常温/常湿 蛍光灯 あり
D ★★★☆☆ 常温/常湿 蛍光灯 あり
E1 ★★★☆☆ 常温/常湿 蛍光灯
E2 駄目 常温/常湿 蛍光灯
E3 ★★★☆☆ 常温/常湿 蛍光灯
F1 駄目 常温/多湿 蛍光灯
F2 駄目 常温/多湿 蛍光灯
F3 駄目 常温/多湿 蛍光灯
G1 駄目 常温/常湿 日光
G2 駄目 常温/常湿 日光
G3 駄目 常温/常湿 日光
H1 ★★★★☆ OPP+ダンボール 常温/常湿 暗所(ダンボール)
H2 駄目 OPP+ダンボール 常温/常湿 暗所(ダンボール)
H3 ★★★☆☆ OPP+ダンボール 常温/常湿 暗所(ダンボール)

補足

  • Ziploc:袋状のZiploc(食品保存袋)に入れ保護されて乾燥も防げる状態
  • 重し:シートと同じサイズに切ったカラーボードで挟み、上に水の入ったタッパーを乗せた状態
  • 平:平置き
  • 内:内巻き(デザインが内側に向く)
  • 外:外巻き(デザインが外側に向く)
  • 営業日はエアコンをつけています

忙しい人向けのまとめ(半年経過時点)

前提として納品後すぐに使用することが経年劣化がなく綺麗な状態で使用できます。この状態を基準の最高評価「★★★★★」として、保管方法を評価しました。

実験ID 推奨度 保管方法
A1,B1,C,H1 ★★★★☆ 【平置き】湿気ないビニールに入れて重しを乗せて挟む。 例)辞書を上に乗せる、ジップロックに入れる
A3,B3,D,E1,E3,H3 ★★★☆☆ 【平置き】袋に包んでいない状態は、ほこりやゴミがフチにつきやすく、外気に触れる部分があるとリタックのめくれなどが起きる可能性がある。 【外巻き】サイズが大きいなど、平置きできない場合は外巻きでビニールに包む。保管期間が長くなると、タワミが出ることがある(半年以降)。
A2,B2,E2,F1,F2,F3,G1,G2,G3,H2 駄目 【内巻き】行わないでください。トンネルができ施工時に失敗する恐れがあるため推奨しない。 【多湿・日光】形状に関わらず状態が悪くなるため、必ず避けてください。

※トンネル:リタックシートとカッティングシートの間に生まれる隙間のことを指します。これができた時点でタワミが生じるため綺麗に貼りづらくなります。シートの色・粘着には影響はありませんが施工に支障が出ます。

保存状態と施工の仕上がりが綺麗だったのは、平置きは挟んでOPPなどで包む、サイズが大きいものはデザインを外側に向けて巻いた外巻きをOPPなどで包むのが一番綺麗でした。今回、実験した方法の内、一番保管状態が芳しくなかったのは、多湿の環境下で保管していたものでした。


[A1, A2, A3]常温 + ziploc + シリカゲル

2025/7/10(実験開始日)

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/10
A1, A2, A3を1つのZiplocにシリカゲルと共に入れました
[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/10
この程度の巻きのテンションが掛かっています
  • [A1]:写真1枚目の平らな状態のもの(平置き)
  • [A2]:写真1枚目の右側のものでロゴが見えてないもの(内巻き)
  • [A3]:写真1枚目の中央のもの(外巻き)

シートの準備をしました。写真1枚目左下の赤いものはシリカゲル(乾燥剤)です。A2, A3は巻いてあるためテンションが掛かっています。この3つの中では「巻き」がどの程度カッティングシートの保管に影響があるのかがポイントです。

2025/7/15

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/15

A1, A2, A3の全体の様子

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/15

A1, A2, A3をZiplocから出してみました

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/15

A1(平置き):変化は見られず綺麗な状態。強い癖やめくれなどもない

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/15

A2(内巻き/写真右), A3(外巻き/写真左)の外見

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/15

A2(内巻き/写真右):内側のRの右付近にトンネルが見られる

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/15
A2(内巻き):固定テープを剥がすと巻き癖が付いている
[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/15

A2(内巻き):別の角度から見ると、Oの右付近にもトンネルが見られる

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:リタックシートと台紙の間にトンネル状の隙間が複数できていました。
  • [A3]外巻き:軽い巻き癖はあるが、逆巻きすると解消されるレベル。特筆すべき変化がないため撮影は省略。

2025/7/17

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

2025/7/22

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

2025/7/24

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/24
A1, A2, A3の全体の様子
[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/24
A1, A2, A3をZiplocから出してみました
[A1]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/24
A1(平置き):変化なし
[A2,A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/24
A2(内巻き/写真右), A3(外巻き/写真左)の外見
[A2]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/24
A2(内巻き):O付近のトンネル部分を確認するため、リタックシートにシールを転写させながらめくってみた
[A2]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/7/24
A2(内巻き):シール自体には問題はなく、リタックシートに波打った跡が残る程度
  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

実験開始から2週間経過。

「常温 + ziplocのみ」と「常温 + ziploc + シリカゲル」を比較したところ、シリカゲルの有無による違いは見た目や感触、転写のしやすさのどれにも見られませんでした。

2025/8/12

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

2025/8/22

[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/8/22
A1, A2, A3の全体の様子
[A1~A3]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/8/22
A1, A2, A3をZiplocから出してみました
[A1]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/8/22
A1(平置き):前回、粘着度合いを確認するために転写シートに移しめくったため、Uの左付近にわずかにトンネルが見られる
[A1]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/8/22
A1(平置き):リタックシートにシールを転写しながら裏側を確認したところ、UとQ付近に薄くシワが出来ている
[A1]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/8/22
端からスキージーで空気を抜くイメージで圧着し直すとシワは解消された。特に問題はない様子
[A2]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/8/22
A2(内巻き):固定テープを剥がすと、前回よりも巻き癖が強くなっている。また、Cの右付近にトンネルが見られる
[A2]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/8/22
A2(内巻き):シートの左側には多数のトンネルが見られる
[A2]常温 + ziploc + シリカゲル 2025/8/22
A2(内巻き):U,O辺りまでリタックシートにシールを転写して裏側を確認したところ、リタックシートとシールの両方にしっかりとした跡が付いている。元に戻す際も完全にシワを取り除けなかった
  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:巻き癖が強くトンネルも増えて、リタックシートに跡が強く残るようでした
  • [A3]外巻き:引き続き軽い巻き癖はあるが、逆巻きすると解消されるレベル。特筆すべき変化がないため撮影は省略

実験開始から約1ヶ月以上経過。

徐々に巻き癖が強くなっている様子。 「常温 + ziplocのみ」と「常温 + ziploc + シリカゲル」を比較したところ、シリカゲルの有無は見た目や感触、転写のしやすさのどれにもいまだ変化は見られませんでした。 また、「常温 + ziploc + 挟む」と「常温 + 挟むのみ」での、ziplocの有無にも違いは見られませんでした。

2025/9/5

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

2025/9/11

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

2025/9/25

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

2025/10/23

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

実験開始から3ヶ月経過。

前回からの変化は見られませんでした。一通りのトンネルや曲がり癖などは出切ってしまったようで、しばらく見た目の状態は一定を保っています。 またリタックシートの粘着具合も引き続き確認していますが、転写も問題なくでき、変わらない状態です。

2025/11/27

  • [A1]平置き:変化なし
  • [A2]内巻き:変化なし
  • [A3]外巻き:変化なし

8ヶ月経過時点でのオススメの保管方法(2026/03/10)

Ziplocにカッティングシートを入れ、常温で平らな状態で保管するのがベストです。湿気と日光を避けましょう。シリカゲル(乾燥剤)を入れておくとより効果的です。

実験継続中のため、当記事は随時更新します。今後の経過観察によってはベストな保管方法も変わる可能性がありますので、次回更新を確認いただければと思います。