カッティングシートに入った空気に穴をあけて抜く

針とデザインナイフ

慎重にカッティングシートを貼った際に空気が入ってしまう事があります。空気が入った部分はイボのようにポコっと膨らんで、見た目に大きく影響します。その空気を抜くベストな方法について実験しました。

貼り付け時の空気は自然と抜けるのかの経過観察


空気が入る原因と対策

前提として、シートを貼る時に空気が入ってしまう理由は以下です。

  • 貼る際に引っ張りすぎてカッティングシートの一部にテンションが掛かってほんの僅かに伸びてしまった
  • 貼る際に引っ張らなさ過ぎて一部がヨレてしまった

均一に引き伸ばした状態で貼れていないのが原因であることが大半です。 カッティングシートは非常に薄いため作業している本人も気づかないタイミングでテンションが掛かって伸びることがあります。施工作業中は和紙アプリケーションシートと一緒にくっついていますが、和紙アプリケーションシートも実は伸びます。

カッティングシートの貼り方(ドライ・水貼り)のページでも解説しているとおり、一度施工面に貼って(置いて)から、更に圧着する工程では中央から圧着しないと構造上空気が入りやすく(残りやすく)なります。またベタ面(シートとして残る面積)が大きいほど空気の逃げ場が少なくなるため空気が入りやすくなります。

製作実績を見ていただけると分かるとおり、基本的に問題なく貼り付け作業は誰でも行なえます。通常はそれほど貼り付けが難しいわけではありませんが、大きいサイズは難易度が上がります。大きいサイズに限らず、作業が心配に感じた場合は、必ず2名以上で作業すると失敗の可能性を大きく減らすことができます。圧着する人と、これから圧着して貼り付ける部分をヨレないように均等に持っている人がいれば、慌てずに作業ができるでしょう。

それでも空気が入ってしまった場合のリカバリー方法を以下で検証しました。


最適な方法

お急ぎの方向けに初めに答えを書きます。最適な方法は「針で横に穴を開ける」方法でした。


実験条件

空気の抜き方
空気が溜まったシートを用意
空気の抜き方2
違う角度から

以前の検証記事(貼り付け時の空気は自然と抜けるのかの経過観察 > [C] 端・緩め)の撮影で使用したアクリル板(15 x15cm)が残っていたため、これを再利用しました。なお以前の検証が2025年9月11日、今回の検証が2026年6月22日なので284日経過している素材です。

写真3枚目の3番(針:真上)・4番(針:横)・1番(デザインナイフ)の順番に検証しました。2番は予備のため未使用です。


放置:何もしない

完全に放置した検証は、貼り付け時の空気は自然と抜けるのかの経過観察をご覧ください。放置していても空気は全く抜けません。


針:真上に穴を開ける

針の細さはあまり変わらない
針の細さはあまり変わらない
針やデザインナイフで空気は抜けるのか
針山(ピンクッション)

針は安全ピンでも構いませんが、裁縫用の針の方が若干先端が鋭利でした。細い方が跡が残りにくいと思い、写真の中で一番細い裁縫用のマチ針を使用しました。

針で真上から刺す
針で真上から刺す
針で真上から刺す2
針で真上から刺す2
針でまっすぐ刺したあと
針でまっすぐ刺したあと
針でまっすぐ刺したあとにスキージーで空気を抜く
針でまっすぐ刺したあとにスキージーで空気を抜く
いろいろな方向から空気を抜いていく3
いろいろな方向から空気を抜いていく3
いろいろな方向から空気を抜いていく2
いろいろな方向から空気を抜いていく2
空気が抜ききれなかった
空気が抜ききれなかった

針を膨らみの真上から刺しました。中心に空気穴ができたため、均等に周囲を圧着して空気を抜いていく必要があります。スキージーで慎重に圧着しましたが、空気は抜ききることができず、やや大きいニキビのように空気が残ってしまいました。

この原因は図にすると以下の様になると思います。

針で真上に穴を開けた状態
針で真上に穴を開けた状態
スキージーで横から圧着
スキージーで横から圧着
反対側からもスキージーで圧着
反対側からもスキージーで圧着
空気の抜ける穴が真上にあるため余白が多い
空気の抜ける穴が真上にあるため余白が多い

通常、カッティングシートを貼る際は、中心から外に向かって圧着するのがセオリーです。逆に中心に向かって圧着すると僅かな弛みの逃げ場が全く無くなるため、弛み同士がぶつかってシワが入ります。これと同じ原理が起こったのだと考えられます。

空気の抜ける穴が真上にあるため、周囲から中心に向かって圧着すると、どうしても完全に抜けきれなかった空気が余白を作り、それらがギュッと集まってしまったようです。新たにできた気泡に穴を開けました。

更に穴を開ける
穴を開ける
穴を開けた状態
穴を開けた状態
スキージーで空気を抜く
スキージーで空気を抜く
また空気を抜ききれなかった
また空気を抜ききれなかった
更に穴を開ける
更に穴を開ける
更に穴を開けたあと
更に穴を開けたあと
スキージーで抜いたが跡が残ってしまった
スキージーで抜いたが跡が残ってしまった
空気を抜いた全体像
空気を抜いた全体像

計3回穴を開けてようやくもう抜けない状態になりました。僅かな凹凸が残っているのが分かります。穴自体は目立ちませんが副産物の凹凸が気になる結果となりました。


針:横に穴を開ける

空気を抜いた全体像2
空気を抜いた全体像2
横から針を刺す
横から針を刺す
横から針を刺す2
横から針を刺す2
横から針を刺したあと
横から針を刺したあと
スキージーで空気を抜く
スキージーで空気を抜く
最後の空気を抜く
最後の空気を抜く
少し跡が残った
少し跡が残った
空気を抜いた全体像3
空気を抜いた全体像3
穴は目立たない
穴は目立たない

真上ではなく、なるべく底辺に近い位置に横から針で穴を開けました。横に穴を開ければ真上に開けるのに比べ、圧着する方向が制限できるため、抜けやすいと考えました。

スキージーをあてがって圧着すると、真上に穴を開けた時よりもスムーズに空気が抜けました。

図にすると以下の様になると思います。

横に穴を空けた状態
横に穴を空けた状態
横からスキージーで圧着
横からスキージーで圧着
一方向からのみ圧着
一方向からのみ圧着
底辺に近い位置に空気穴があるため余白が少ない
底辺に近い位置に空気穴があるため余白が少ない

当初の予想した通り、スキージーの進行方向が制限されることで、カッティングシートの弛みが一方向にのみ生じます。そのため最小限の弛み・凹凸で空気が抜けたのだと考えられます。


デザインナイフで切る

空気を抜いた全体像4
空気を抜いた全体像4
デザインナイフで切れ込みを開ける
デザインナイフで切れ込みを開ける
穴ではなく切れ込み
穴ではなく切れ込み
針よりも大きな切れ込みにした
針よりも大きな切れ込みにした
スキージーで空気を抜く
スキージーで空気を抜く
ハッキリと切れ込みが見える
ハッキリと切れ込みが見える
おおよそ5mmの切れ込み
おおよそ5mmの切れ込み
空気を抜いている
空気を抜いている
最後の空気を抜く
最後の空気を抜く
切れ込みを入れた位置
切れ込みを入れた位置
空気を抜いた全体像5
空気を抜いた全体像5

デザインナイフで横に切れ込みを入れました。カッターナイフでも作業はできるでしょうが、細かい作業ですのでデザインナイフでの作業を強くお勧めします。100円ショップでも販売されています。

図にすると以下の様になると思います(※『針:横に穴を開ける』と同じです)。

横に穴を空けた状態
横に穴を空けた状態
横からスキージーで圧着
横からスキージーで圧着
一方向からのみ圧着
一方向からのみ圧着
底辺に近い位置に空気穴があるため余白が少ない
底辺に近い位置に空気穴があるため余白が少ない

針で付いた「穴」ではなく「切れ目」だったために、スキージーで圧着した際に、ほんの僅かに伸びたシートが重なっているように見えます。そのため凸は少し高さがある感じになりましたので、「針:横から穴を開ける」の方が綺麗な仕上がりでした。ただ真上から針を刺したときのような、細かい気泡は一番できる可能性は低いと思います。


まとめ

アクリル板に貼られたカッティングシートの配置

上図の1番「デザインナイフで切る」、2番未使用、3番「針:真上に穴を開ける」、4番「針:横に穴を開ける」です。それぞれ気泡の形が違うため、完全に同じ条件にはできませんでしたが、作業した手応えとしては「針:横に穴を開ける」が一番綺麗に空気が抜けるように感じました。

順位

  1. 針:横に穴を開ける
  2. デザインナイフで切る
  3. 針:真上に穴を開ける
作業前 作業完了後
作業前 | 作業後

左が作業前、右が3つの作業完了で、気泡がわかりやすいようにコントラストを高めた写真です。やはり3番「針:真上に穴を開ける」はポツポツと細かい気泡が残っており、4番「針:横に穴を開ける」が綺麗に見えるのではないでしょうか。

空気を抜いた全体像6
空気を抜いた全体像6

しかしながらこのアクリル板は15x15cmなので、そこまで大きなサイズではありません。実際にカッティングシートを貼り付けてあるシーンでこれらの写真くらい近づいて観察することがなければ、目立つものではないと思います。